行ってしまった・・。
本当にこの日が来てしまった。
15歳で家を出て自らの意思で県外の高校を選んだ息子。
『あなたの決めたことなのだからお母さんは応援しているよ』
そう言ってきたけれど・・
本心は・・
『まだ一緒にいたい』
ご飯をたくさん作ってあげたいし・・
泥だらけのユニフォームも洗濯したいし・・
背番号だって縫ってあげたい。
『おかえり!』って・・
玄関で元気な声で出迎えてあげたい。
見えない所で一人で泣いていました。
高校を卒業したら家を出ていくのだろう・・
とは覚悟していたけれど・・
15歳で・・
私が思っていた時期で息子は家を出ていってしまった。
先輩のお母さんは
『寮生活で大人になって帰って来るよ』
と言ってくださった。
確かに・・そうだろう。
でも・・
でも・・
それ以上に寂しさが勝ってしまう。
別れ際の息子はずっと笑顔だった。
私も絶対に泣かずに・・
笑顔で息子を送ろうと心に決めていたから・・
必死に笑顔でいた。
いや・・
笑顔を作っていた・・
泣きそうになるのを懸命にこらえて。
笑顔の息子を見ていると・・
息子は寂しくないのだろうかとも思った。
息子を見送って・・
息子の部屋にいる。
部屋には少年野球の時のメダルや写真・・
使わなくなったグローブ。
それを見ていたら堪えていた涙が溢れはじめてきた。
その時・・
息子からLINEが来た。
『みんなの前で笑顔だったぶん・・電車に乗って一人になったら涙が出てきたよ。でも、これで泣くのは最後にする。お母さんを甲子園に連れて行くからね』
そう書いてあった。
息子も・・
私と全く同じだったんだ。
必死に笑顔を作っていたんだ。
そんな時に本間さんの言葉を思いだした。
『どこにいても親子は繋がっていますから・・』
私ももう泣くのは今日で最後にしよう。
自分の夢のために旅立った息子を誇りに思って・・
私も強くなろう。
覚悟を決めた。
そして・・
お正月に帰ってきた時は
『おかえり!』
と笑顔で息子を出迎えてあげよう。
作り笑いではないとびっきりの笑顔で・・。
~年中夢球~