「いいか!わかったな!」
という監督・コーチの声に
「はい!」
と元気く大きな答える選手達。
それは周りから見ると元気のいい明るいチームに見えることでしょう。
元気のいい大きな返事は周りで見ている人間を温かい気持ちにします。
ですが・・
彼等はこちらが話したことを理解して
「はい」
と言っているのでしょうか?
今・・
若い会社員が上司の言っていることを理解していないのに返事をすることが多くなっているそうです。
返事はするけど・・
理解していない。
実際に聞いてみると
『すみません。わかりません』
という事になったりするようです。
言っていることがわからないけど・・
返事をしておけばいいだろうというタイプとわからないけど聞けないというタイプがいます。
『はい』と言わせなければいけない場面があることも確かです。
ですが・・
私は技術指導や戦略面の話を子供たちにする時にわかっていないなら・・
『はい』と言わないようにと話しています。
わからないことをわからないと言う事は決して恥ずかしい事ではなく・・
わからないことをわかったということのほうが後々大変なことになるよ・・
そう話しています。
私は普段は子供に勉強を教えている仕事をしています。
説明をした後に
『わかった?』
と子供に聞くと
頷いたり・・
『わかった』
『なんとなくわかった』
そういう答えが返って来ます。
選択肢が『わかったか?』
と聞けば
答えの選択肢は
『わかった』
という一つしかありません。
『どうだ?わかる?わからない?』
と子供に聞くと
『わからない』
と答える子が増えてきます。
選択肢を聞き手が一つではなく二つ与えているからです。
「わからない」
と言える雰囲気や聞き方が子供の答え方を変えるかもしれませんね。
監督、コーチや親のことに納得していないのに「はい」と答える子がいます。
言葉では「はい」と答え…
心で「NO」と答える子供たちです。
小学生ではなく子供から大人に変わりつつある中学生に多い気がします。
先述したように「はい」と言わせなければいけないこともあるのは事実です。
言葉では「はい」と言っているのに心では納得していないのだろう…
私が話していてもそういう子供は顔に出ています。
子供がある程度納得してほしいのでこちらの意図を話します。
「はい」と言わせることが目的ではない時があると思うんですね。
子供が納得していないのに「はい」と言わせることに夢中になってしまい・・
「はい」と言わせたことに満足してしまう…。
それは子供に「不信感」を抱かせ・・
やがて「指導者や親と子供のズレ」となり
そのズレが広がっていきます。
言葉では「はい」と言っているからあの選手とは信頼関係が出来ていると思っていたのに・・
子供からすると信頼関係どころか「不信感」しか持っていないため
「あのコーチの言っていることが理解できない」とか「あのコーチが嫌だ」とか
そういう話に発展していくことがあります。
心でNOと言っている選手にこそ我々大人は耳を傾けなければいけないのかもしれません。
最後に「はい」の語源は3つあるそうです。
「拝」
《拝》を意識する返事→
感謝・・尊敬・・褒めてもらった時・・
感謝を込めて、「拝聴」させて頂きますという意味
「拝」の語意を念頭に置き、「はい」と答える。
「配」
《配》を意識する返事→
目配り、気配り、心配り、を払うとき
「言われることに充分気配りします」の「配」を意識し
「はい」と自分に言い聞かせるように言う。
同時に「相手への気配り」も忘れない。
「背」
《背》を意識する返事→
指示、命令、指令、間違いなどを指摘されたとき
私は責任を「背負い」間違いなく行いますと言う心を意識し
相手の目を見ながらシッカリ力強く「背」と返事する。
我々大人は子供にどんな「はい」を求めているのでしょうか?
~年中夢球~