何年か前の事です。
ウチのピッチャーが最終回に連打を浴びて冷静さを失ったときにタイムをかけてマウンドに行き、こう言いました。
「お前、今さ、バッターしか見えてねえだろ?自分一人でバッターを打ち取ろうとしてない?周り見てみん。守っている8人が、お前にはついてんだよ。守ってる人間だけじゃない。ベンチの連中もそれは同じ思いだよ。ひとりひとりの顔を見てみん。元気をもらえるから。」
OBになった彼が「あの一言でスーっと楽になれました」と言ってくれました。
ピッチャーマウンドに上がると一人で戦わなければいけない時もあります。
だけど、目の前のバッターの先にはキャッチャーがいて、後ろには仲間がいることを忘れてはいけない。
マイナス思考になったらキャッチャーを見てください。
思いっきり腕を振れと君をプラスに変えようとしてくれています。
君のマイナス思考もプラスに変えてくれます。
「プラス」と「マイナス」があってバッテリーだから。
打たれたりストライクが入らないときはマウンドから周りを見てください。
君は、仲間から信頼されたから、その『マウンド』という山に登っています。
仲間の笑顔という景色がその山から見えるはずです。
マウンドという山は誰でも登れる山ではありません。
人より多く走り、人より多く努力して者だけが登れる山です。
そして、その山に登るには、仲間から「信頼」という言葉を得なければいけません。
その中でも「エース」と呼ばれる選手は背中に「1」という数字をつけています。
みんなの想いを自分の想いを「1球」にかける背番号「1」
そのマウンドは小さいですが誰でも登れる山ではありません。
そして、その中でも日本一険しい山が兵庫県にあります。
その山は「甲子園のマウンド」と呼ばれています。
この山に登ろうとたくさんの選手が努力をします。
登ったものにしかわからないものもあれば、登れなかったものにしかわからないこともあるはずです。
誰でも登れる山ではありませんが登ろうと努力している球児達の姿は胸を打ちます。
何よりも、その山に登るために君はたくさん努力してきたはずです。
その自分を信じて。
マウンドに登ったなら
キャッチャーを信じて、
仲間を信じて、
そして、自分を信じる。
その想いを白球に込めて投げるのがピッチャー。
ピッチャーの親御さんも大変ですね。
我が子が打たれたり、フォアボールを連発している時は逃げ出したくなる時もあるでしょう。
ですが、お子さんはがんばっています。
結果がどうであれ見守ってあげてください。
ピッチャーは一人だけど独りじゃない。
ピッチャーの親御さんも独りじゃありませんから。
~年中夢球/phg@buchiko~