スタンドで終わる夏・・。
様々な最後の夏があります。
高校2年生の夏。
私はメンバーに入れずスタンドにいました。
先輩の夏をグラウンドで一緒に過ごすことが出来ず・・
私はスタンドで過ごしました。
メガホンでありったけの声で・・
先輩たちの夏を応援していました。
3回戦で終わってしまった先輩との夏。
スタンンドには最後の夏を・・
グラウンドで迎えられなかった先輩たちもいました。
応援団長だった先輩は・・
代々受け継がれてきたハチマキから・・
汗がしたたり落ちていました。
負けた後・・
スタンドで涙を流す先輩達。
しかし応援団長の先輩は涙を流さずに凛とした態度で夏を終えました。
応援団長の先輩の額には・・
ハチマキの跡が日焼けとしてクッキリ残っていました。
その先輩の姿は2年生の私にとって・・
とてもカッコよく見えました。
しかし・・
同時に来年の夏にスタンドにいることはメンバーから外れたことを意味します。
やはり最後の夏は・・
メンバーに入りたい・・
そう思って2年の夏を終えました。
2年の秋の大会はメンバーに入れず・・
3年の春の大会はなんとかメンバーに入れましたが・・
最後の夏の大会のメンバー発表で・・
私の名前が呼ばれることはありませんでした。
メンバーから外れた3年生が集まり・・
メンバーを思いっきりサポートしようと話しました。
私は・・
応援団長に立候補しました。
去年の夏・・
あの先輩の姿が目に焼き付いていたからです。
私もあの先輩と同じように・・
最後の夏を応援団長としてスタンドで迎えることになりました。
1回戦の時・・
あの先輩が応援に来てくれました。
『みんなのためにがんばれ。そして自分のためにがんばれ』
そう声を掛けてくれました。
私が応援団長として試合をしたのは3回戦まででした。
去年の先輩たちと同じ3回戦で最後の夏を終えました。
負けた瞬間・・
涙が出そうになりましたが・・
去年のあの先輩のように・・
最後まで凛とした姿でいようと我慢しました。
球場の外で行われたラストミーティングでも
私は涙を我慢しました。
最後まで凛とした応援団長でいたかったからです。
泣きじゃくる仲間を笑顔で抱きしめていました。
ラストミーティングが終わり・・
一人で球場のトイレへ行きました。
トイレの鏡の前で・・
ハチマキを取った時・・
額には去年の先輩と同じように・・
私にも日焼けの跡が残っていました。
それを見た瞬間・・
何故だか涙があふれだしてきました。
その日焼けのハチマキの跡が・・
私の高校野球をしてきた証だったのだと思っています。
あれから10年・・
応援団長をした最後の夏が・・
社会に出た私を今でも支えてくれています。
~年中夢球~