フォロワーさんから頂いた素敵なおばあさまのお話。
私は家庭の事情で、小学校からおばあちゃんに育てられました。
おばあちゃんと二人での暮らし。
おばあちゃんと二人の暮らし・・
私は幼心でありながら、どこかで遠慮した気持ちで接していました。
小さい時から野球が大好きで・・
少年野球をやりたい気持ちもありましたが・・
おばあちゃんに気を遣ってそれが言えませんでした。
友達から誘われることがあっても・・
『チームとかはいいや』
そう自分の言葉に嘘を言って断っていました。
テレビでよく野球を観ている私を見て
『野球好きかい?やったらいいよ!』
そうおばあちゃんは言ってくれましたが・・
『観るのは好きだけどやりたくはないよ』
そう言って自分の言葉に嘘を言っていました。
ある日・・
おばあちゃんが私にこう言ってくれました。
『本当は野球やりたいんだろ?お友達と公園で野球している姿を何回も見たよ。遠慮しなくていいんだよ。私もあんたが野球をしている姿見たいしね。』
私の気持ち・・
おばあちゃんには全部見られていたんですよね。
これを機に私は少年野球に入部しました。
ずっと入りたかった少年野球は楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。
仲間もたくさん出来ました。
ただ・・
一つだけ私には嫌な時間がありました。
それはお弁当の時間です。
みんなのお弁当は・・
ハンバーグや唐揚げ。
私のお弁当は・・
焼き魚と煮物・・。
おばあちゃんがせっかく作ってくれたお弁当でしたが・・
当時の私にはそれがなんだか恥ずかしく・・
入部した時はみんなと離れて食べたり・・
みんなにわからないように食べていました。
ある時・・
一人が私のお弁当の中身をまじまじと見ていました。
『見られた。何か言われる・・』
咄嗟にそう思いお弁当を隠したのですが・・
彼が言った言葉は意外な言葉でした。
『お前のお弁当・・めちゃくちゃおいしそうだな!』
その言葉に他の仲間も反応し
『本当だ!焼き魚とかうらやましい!』
『一口ちょうだい!』
『交換しようよ!』
そんな風に言ってくれました。
それから・・
おばあちゃんのお弁当は大人気で・・
みんなと交換しあったりしもしました。
おばあちゃんは試合の時だけでなく・・
練習もたくさん見に来てくれました。
他のお母さんに
『ウチの子がお子さんのお弁当美味しいんだよっていつも言うんですよ。作り方を教えてくれませんか?』
そう言われて数名のお母さんをウチに呼んで料理を教えたりもしていました。
『あんたのお陰でこの年になってたくさんの友達が出来て嬉しいよ。』
おばあちゃんはよくそう言ってくれました。
私は中学・高校とも野球を続けました。
小学校の時・・
おばあちゃんのあの一言がなかったら野球をしていなかったと思います。
今はもう亡くなってしまいましたが・・
いつも野球を観に来てくれたおばあちゃんの姿は消えることはありません。
そして・・
一瞬でもおばあちゃんのあのお弁当が恥ずかしいと思った自分を悔いています。
幼少の時に嫌だと思ったあの焼き魚と煮物のお弁当をもう一度食べたいと心からそう思います。
~年中夢球~