「少年野球は楽しくやるべきだ」という意見もあれば
「少年野球といえ勝つことを目指すべきだ」という意見があります。
少年野球の現場ではこの「楽しい野球」と「勝つ野球」が対立を起こすことがあります。
そして、指導者の方だけでなく親御さんの間でも意見が分かれるのかもしれません。
この「楽しい野球」と「勝つ野球」は両極端の位置にあるようにとらわれてしまいがちですが本当にそうなのでしょうか?
楽しい野球と聞くと…
勝敗はどうでもいいから笑顔で楽しく野球をやってほしい そんなイメージを持ってしまいませんか?
そして、現に、こういう考えの方もいらっしゃっると思います。
ここでいう「楽しさ」とはなんなのでしょうか?
野球に限らずスポーツには勝ち負けがあります。
どのお子さんも野球の試合になれば、「勝つ」ことを目標にしているはずです。
私はチームの目標は「勝つ」ことでいいと思ってるんですね。
それは、私が「勝ちたいから」ではなく、子供達が「勝ちたい」と思ってるからです。
だから、私自身は「勝ちたい」ではなく、「勝たせてあげたい」と思っています。
チームの目標は「勝つ」ことでいいと思っています。
ですが、私が野球の指導をさせていただいてる目的理由は違います。
野球を通して、最後までがんばる気持ち、仲間を思いやる気持ち、自主性…
そういうものを心で感じ、今後の野球人生やその後の人生に役立ててほしい…そう思っています。
ただその前提には「子供が勝ちたい」と思うことによって始まるのではないかと考えています。
では、勝つ野球と聞くとどうでしょうか。
指導者が勝利至上主義だけの考えになってしまい、レギュラーの子だけを可愛がり、ピッチャーの子に登板過多にさせてしまったり… そんなイメージを持ちます。
ここでいう勝つ野球とは、指導者が子供に「勝たせたい」のではなく自分が「勝ちたい」になっているのではないでしょうか。
もっと言えば子供の「勝ちたい」という気持ちを、自分の「勝ちたい」に利用しているのかもしれません。
「楽しい野球」と「勝つ野球」の議論になるとこのような両極端の意見がクローズアップされ意見が噛み合わなくなることが多いのではないでしょうか?
私は、本当に楽しいと思えるものは「楽」ではないし、「楽」に出来てしまうものは本当に楽しいものではないと思っています。
子供を夢中にさせるものにスマホなどのゲームがありますが、あれこそ楽で楽しいと子供達が錯覚を起こしているもののような気がします。
本当の野球の楽しさとは厳しい練習をしてきたものが掴めるものです。
そして、その厳しい練習に耐えられるのも「試合に勝ちたい」という思いがあるからです。
一生懸命練習をしても負けてしまう時もあります。
ですが、勝つことを目標にしなければ始まらないのだと思うのです。
楽しい野球とは、厳しい練習をしてきて、試合を迎えた日のあのワクワク感…
そして、相手も厳しい練習を耐えてきて臨んできての真剣勝負。
そこに生まれる駆け引き。
こういうものが本当の野球の楽しさだと思うのです。
そう考えると「勝つ野球」と「楽しい野球」は決して両極端の位置にあるものではなく、
交わるものになるのではないでしょうか?
~年中夢球 photo buchiko~