少年野球~高校野球 野球少年の親と指導者のブログ

グラウンドに来れなかった少年に両親がしていたこと

私の教え子の話です。

彼は1年間グラウンドに来ることが出来ませんでした。

新しい環境に心と身体が慣れることが難しい子でした。

我が子がいないグラウンドに1年足を運んだ父と母

グラウンド前までは来ても・・

グラウンドに入れない・・そんな1年間でした。

でも、チームは辞めたくない・・

その1年間、父はスタッフとして、毎週、グラウンドに来ていました。

毎週、我が子がいないグラウンドは父にはどのような眼で映っていたのでしょうか。

そして・・

母も1年間、当番をやり続けました。

しかし・・ある日・・

『もう辞めさせてください。皆さんに迷惑をかけたくない』

と親御さんがそうおっしゃいました。

『迷惑だなんて思ってる人間はウチにはいないよ。チームを辞めたくないっていうんだから、野球が好きの証拠。待とう』

と親御さんに伝えました。

1年間、かかりましたがJは毎週、グラウンドに来れるようになりました。

きっと・・

父や母の姿を見ていたのだと思います。

1年ぶりにグラウンドの中に入ってきた彼に

『1年分のノック・・今日打たせてもらうぞ。それがお帰りのプレゼントな』

そう彼に言って真っ暗になるまでノックを打って会話をしていたのを思いだします。

 

苦難・困難が有ったからこそ・・

そして、彼は今、高校3年生になりました。

副将として野球を続けています。

あの時・・

自分がグラウンドに行っていなかったのに・・

毎週、コーチとしてグラウンドに行っていた父の気持ち。

自分がグラウンドに行っていなかったのに・・

当番をしていた母の気持ち。

今の彼にはあの時の父と母の気持ちが痛いほど分るはずです。

そして・・

父も母も・・

今は毎週グラウンドに行くと・・

そこには野球をしている我が子がいる。

彼にとっても・・

両親にとっても・・

高校野球をやり遂げることが『当たり前』ではないと心から感じているはずです。

たくさんの困難・苦難・・

その『難』『有った』からこそ・・

今、高校野球をやり遂げるこの瞬間が・・

『有り難い』と感じているのかもしれません。

彼も孝行野球までたどり着きます

彼の名前は・・

桜陽高校3年

林康太。

グラウンドに1年来れなかった少年は・・

今、立派な『孝行球児』になりました。

彼が高校野球までやり遂げてくれる事・・

その『軌跡』は『奇跡』。

彼の夏は私にとっても特別な夏です。

グラウンドに立っている彼の姿を・・

私も・・

『当たり前ではないこと』

だと感じ目に焼き付け・・

心に刻み込むつもりです。

今…

野球に行かれない子供さんの親御さん。

まだ諦める時ではないのかもしれません。

~年中夢球~

この記事を書いた人
野球少年を持つ親御さんと指導者の皆様へ元気を送り続ける[年中夢球]です。 神奈川野球雑誌『ОNEDREAM』に連載中。

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