ウチのチームでは『声を出せ』というこの言葉が指導者も選手間同士も基本的には禁止になっています。
「声を出せ!」
と言われて出してもそれは本物の声ではない・・
「気」が入っている声こそが本物の生きた声だと思うのです。
僕は練習中は
「感情を全て表に出していい」
と言っています。
悔しさ・喜びを表に出せと・・
生きた声を出すためには、まずは「気」が必要なのです。
今の子はその気を声に出すことをためらったり恥ずかしがったりしますよね。
「気」が入っていれば…
『こーい・こーい』
『バッチこーい』
というお経のような声はなくなるはずです。
ノックを打っていても本当にボールが欲しい子は、気から声を出しています。
だから、表情が違うんですよね。
気が入った声を出している選手は顔全部が動いているんですよね。
自分はバックネットから全体を見渡していることが多いのですが、外野の選手でも、気が入って声を出している選手は、表情が動いているのが見えるんです。
体全体が動いている選手もいます。
声だけでなく…
表情だけでなく…
体全体でボールを呼んでいるんですよね。
本当にボールが欲しくてたまらないのがよくわかります。
気が入っている声だからこそ…
自分を奮い立たせ・・
仲間を奮い立たせるのだと思います。
それが「言霊」なのです。
ではどうしたら『気』の入った声が出るチームになるのでしょうか?
声を出すことで勝てる試合があります。
逆に言えば声を出さないことで負ける試合もあります。
ショート後方に上がったフライをショートとレフトとセンターがお見合いをしてしまい決勝点になった…
声で負けた試合です。
こういうことのないよう練習から『声が試合を左右する』ことを子供に伝えなければなりません。
あらゆることを想定させその『準備の声』を出すことも大切です。
準備の声は数限りなくあるはずです。
その準備の声が出ないということは子供達が何も考えずに守備についているか…
野球の知識がまだ乏しくて声が出ないのかもしれません。
声を出せということを禁止にしたと書きましたが最初からそうであったわけではありません。
私も指導者の始めは
『声を出せ!』
とよく言ってました。
しかし…
これは効果がないことがわかり始め…
『声を出す重要性』と『声を出す雰囲気作り』を考え子供に伝えていきました。
上の学年の選手が実践してくれれば下の学年の選手は『こういうものなんだな』と真似をします。
逆に声が出ていない上級生を見れば『こういうものなんだな』と思い声も出さないでしょう。
私が今
『声を出せ』
と言わなくなったのは・・
彼等が『気を出すチーム』というバトンを代々引き継いでいってくれたからです。
彼等が作りあげた『伝統』なんです。
「さあー!今日も気入れて行こうぜー!」
「よっしゃー!」
子供たちのそんな声から…
ウチの練習は始まっていきます。
~年中夢球~