去年の夏…
私は教え子である横浜高校の石川達也を追いかけていました。
迎えた準決勝。
横浜高校石川と桐光学園中川投手の先発で始まった試合は見ごたえある好ゲームの結果、横浜高校が勝利しました。
勝った横浜高校の選手がホームに並び、校歌を歌う時に…
桐光学園の応援席から横浜高校の校歌を一緒に歌う声が聴こえてきました。
やがて、それは大合唱となり、球場全体が横浜高校の校歌を歌う光景になりました。
思わず涙がこぼれるシーンでした。
先日、娘がマネージャーをする高校の初戦。
相手チームのレフトの選手が足をつってしまった瞬間、三塁ベンチから敵である娘のチームの選手が飲み物を持っていく姿がありました。
試合終了後のエールの交換…
私はこの時間が大好きです。
勝ったチームは相手チームの選手とスタンドに健闘を称え大いなるエールを贈る。
負けてしまったチームは、相手チームに、自分達の分も勝ち続けて欲しいという想いを込めて大いなるエールを贈る。
高校野球ではこういう光景を目にします。
戦っている時はもちろん「敵」です。
ですが、試合中に何かあった時や、試合終了後のエールの交換。
そして、横浜高校の校歌を一緒に歌った桐光学園の応援席。
そう考えると試合中に「敵」だった相手も一緒に野球を切磋琢磨してきた「仲間」になるのだと思うんですね。
「野球」というチームの仲間。
同じスポーツを選び…
切磋琢磨してきた野球の仲間。
これらの行動は親子さんの「教育」があったからだと思います。
ですが野球を通して育まれた「球育」もあったと思うのです。
野球をしていたからこそ育まれたもの。
最後までがんばる気持ち。
道具を大切にする気持ち。
感謝の気持ち。
そして、今回のように「野球仲間」を想う気持ち。
そう考えると少年野球から「球育」は始まっています。
試合中に監督やコーチが相手チームの選手に心ないヤジを言えば、そのチームの選手も言っていいんだと思い同じようなヤジを言います。
ゲームセットの後…
このようなチームさんは「野球」の仲間にはなれないのではないでしょうか?
以前、試合でかなり強烈なヤジを言うチームさんと当たりました。
一人のウチの選手が頭に来たのでしょう。
同じようなヤジを言い返すようになりました。
「相手が言っているから」
彼はそう言いました。
「相手チームはルール違反ではないかもしれないが俺からしたら、あれはマナー違反だ。お前も一緒になって言っていたら、お前もマナー違反だ。熱くなる所はそこじゃない。」
そう彼に話しました。
その後…
あまりにも心ないヤジに審判さんが注意をされていました。
試合終了後にその審判さんが
「あれはマナー違反じゃありません。ルール違反です。」
とおっしゃってくれました。
指導者として、野球を通して心が育まれる「球育」を感じとれる選手を一人でも育てていきたいです。
~年中夢球~