


少年野球 指導の引き出しが増えるコーチと増えないコーチの大きな違い

少年野球 お子さんの素振りが続かない理由

練習も・・
私生活も・・
全て試合に出るものです。
彼はウチのチームのエースでした。
球の速さもコントロールも抜群のピッチャーでした。
しかし・・
どこか手を抜くところがある選手でした。
いいものは持っているのに試合中に突如崩れたり・・
なかなか結果を残すことが出来ないピッチャーでした。
その子の練習を見ていると・・
最後まで一生懸命やらないんですよね・・。
ダッシュをしていても・・
最後の最後で手を抜く。
10分間走をしていても・・
最後にスパートをかけられない。
もっと言えば・・
お弁当の最後の一口を残すんですよね・・この子。
あと一口で終わるものを食べない子でした。
『お前さ・・がんばるのは最後までだぞ。最後の最後までがんばることが本当にがんばったことだぞ』
そう何度か彼に伝えましたが・・
彼の心にはなかなか響きませんでした。
【その時が来ないとわからないかな】
本当に痛い目に合う前に言葉をかけるわけですが・・
本当に痛い目に合ったほうが本人には響く場合がありますから・・
そんな風に考えていました。
大事な公式戦で・・
3点リードのまま最終回へ。
ピッチャーは彼です。
球数もそんなに投げておらず・・
最終回も続投させました。
簡単に2アウトを取って・・
あと一人。
しかし・・
突如乱れて3連続フォアボール。
タイムをかけてマウンドに行きました。
『大丈夫です。最後まで投げます』
彼は僕にこう言いました。
ベンチに戻ると
『本間さん・・ピッチャー交代させたほうがいいんじゃないですか?』
そうコーチから声が上がりました。
でも・・
このチームで勝っていくには彼のこういう部分での成長が必要であり・・
彼自身の成長のためにもこういう部分で強くならなければいけない。
そう思って僕は続投させました。
そこからの彼は・・
ヒットを打たれワイルドピッチ・・
3点のリードはあっという間になくなり・・
逆転サヨナラ負けでゲームの幕が閉じました。
試合後・・
泣いている彼に僕こう言いました。
『最終回・・2アウトを取って・・お前さ・・勝ったと思っただろ?』
泣いてうなだれている彼の顔が僕を見ました。
『まだ終わっていないのに・・あそこで勝ったと思っただろ?』
そう僕が言うと彼はまた涙が溢れ出てきました。
『普段から最後の最後までがんばらない人間が試合の時だけ最後まではがんばれないんだよ。最後の最後までがんばるヤツと最後の最後に手を抜くやつの差がこういうところに出てくる。わかるか?』
そう彼に話しました。
彼の涙は更に溢れだしました。
次の日・・
彼の野球ノートにはこう書いてありました。
【最後まで全力!】
そして・・
練習でも最後の最後まで全力でがんばる選手になりました。
最後の公式戦の決勝で・・
2点リードのまま最終回へ。
ツーアウトを取ったところでタイムを掛けようとベンチから出ようとした所で・・
彼が僕を見て2度頷きました。
その姿を見て・・
マウンドに行くのを止めました。
ちゃんとわかっている・・。
最後のバッターを見事に打ち取りマウンド上で喜んでいる彼の姿。
あの試合があったから・・
最後の最後で優勝できたのだと思っています。
~年中夢球 photo buchiko ~