三冊目の書籍『なぜ元気な会社に補欠はいないのか』で
横浜ベイスターズの田代打撃コーチと対談させていただきました。
『短所ばっかり言ってると長所が消えることがあんのよ。逆に長所を伸ばすと短所が消えてくることがあるんだよね』
この田代さんの言葉・・
なるほどなあ・・
と考えさせられる言葉でした。
確かに短所は彼等の野球人生のために直さなければいけないのですが・・
そこばっかりに目が行ってしまうことが今の指導にはあるのかもしれません。
田代さんのこの話を聞いて・・
あるミーティングの出来事を思い出しました。
雨が降ってきたので・・
練習を中止にしてミーティングを行うことにしました。
僕は小学生に対してもかなりミーティングの時間を取ります。
その日のテーマは
【自分はどんな選手なのか】
という内容。
僕からすると・・
僕が思っている一人一人の選手像と彼等一人一人が考えている自分像が一致するのかどうか・・
ちょっと楽しみにしていました。
『自分はどんな選手なのかを今一度自分自身で考えてほしい』
そう選手に伝えました。
そして・・
それだけではなく
『それを漢字一文字にして書いてみん』
と話し少しハードルを高くしました。
『難しいなー』
『漢字が書けない』
そんな声も出ましたが・・
こうやって考えることも僕は大切なことだと思っています。
一人一人一生懸命考えて・・
野球ノートに書いていきます。
足が速い選手は・・
走。
ホームランバッターの選手は・・
本。
元気のいい選手は・・
声。
キャッチャーの選手は・・
守。
ピッチャーの選手は・・
闘。
そんなふうにみんなが漢字に書いていました。
漢字が書けない子には教えましたが(^^;
そんな中・・
一人の選手が何も書けないでいるのに目が留まりました。
なかなか試合に出れない選手でした。
ですが・・
チームのために一番色々と動いてくれている選手。
おとなしい選手でしたが・・
いつもニコニコと笑顔が絶えない選手でした。
僕にはそう見えていました。
ですが・・
何も書けない様子を見るとそこに自信がなかったのかもしれません。
そこに彼は喜びや遣り甲斐を感じていなかったのかもしれない・・
そう反省していました。
全員の発表が終わり・・
彼の番になったのですがノートにはまだ字が書かれていません。
『僕は・・』
と言ったきり言葉が続きません。
すると・・
『お前のいい所いっぱいあんだろー』
一人の選手がそう言いました。
『俺がお前だったら10個ぐらい書けんぞー』
他の選手もそう続きます。
『よし・・じゃあ、お前は特別にみんなから意見聞こうか』
そう僕が言うと
『やっぱ!笑顔の笑でしょ!』
『優しいの優じゃね?』
『チームのために一番動いてくれるから動は?』
『送りバント上手いから送は?』
色々な声が飛び始めた。
『みんなお前の事こう思ってんだよ。自分に自信を持ていいんだぞ』
そう彼に伝えました。
そして・・
彼はノートに【笑】と大きく強く書きました。
最後に選手に僕はこう言いました。
『お前たちはまだまだ直さなければいけないところもたくさんある。でも今自分で書いた漢字をもう一度よく見てみろ。そして、その漢字の上に『自分の武器』と書いてごらん。それがお前達の武器となって自分を助けてくれるものだ』
子供一人一人に必ず長所はあります。
その長所を見つけ伸ばしてあげることも・・
短所を直すことと同じくらい大切なはずです。
写真の画像は部員100名を越える高校野球のマネージャーさんのものです。
大会前にお守りを作って選手一人一人に漢字を縫っていきます。
毎日一緒にいるマネージャーさん。
どんな選手なのか・・
一番見えているのかもしれませんね。
~年中夢球~