あいつは使えない・・
アイツは無理だ・・
そんな指導者の言葉を耳にすることがあります。
僕の中でもちょっと特別な思いを持つ選手がいます。
彼はマイナー時代も殆ど試合に出場することのない選手でした。
彼がマイナーからメジャーに上がってきた時…
技術的には少し厳しい選手でしたが・・
どんな子供でも必ず「可能性」があると私は思っています。
私は指導者の役割のひとつに子供の可能性を探すことだと思っています。
幼い小学生のその可能性は「きっかけ」や「やる気」に繋がります。
その子供の可能性を見つけようとせず・・
「センスがない」と安易に子供の可能性否定することが僕は大嫌いです。
彼がメジャーに上がってしばらく彼の「可能性」はどこにあるのだろうか…
そんなことを考える毎日でした。
彼のキャッチボールを見ているとき・・
体の使い方…
ボールの軌道…
「今日からサイドスローでピッチャーでいくぞ」
と告げました。
「ピッチャー…僕がですか?」
と驚いていた彼の顔を今でも思い出します。
お父さんから・・
サイドスローのYouTubeを見たり急に野球に研究熱心になりましたとおっしゃっていただきました。
その後・・
彼はリトルでサイドスローのピッチャーとして活躍してくれました。
そして…
2年前の最後の夏。
甲子園出場経験のある強豪チームとの2回戦。
彼は3回からマウンドに。
投球フォームはサイドスロー。
もうその姿だけで涙が出てきそうでした。
強豪相手に臆せず投げるインコースのボール。
僕が知っている彼の顔は「男の子」でしたが・・
今日の彼の顔は「一人の男」になっていました。
試合終了後…
彼のお父さんと再会しました。
「彼は何度か上から投げることも打診されましたが最後の最後までサイドスローに拘り続けました。本間さん・・彼に可能性を見つけてくれてありがとう」
そう言い終わった後・・
二人で涙を流して抱き合いました。
そして…
彼との再会。
色々なことを言おうと思ったのですが
結局・・
「有り難う」
しか言えませんでした。
そして彼も・・
「有り難うございます」
しか出てこなくて…
二人で何度も繰り返しているうちに、その「有り難う」は声にならなくなり…
二人とも涙が溢れ出してきました。
教え子の高校野球の試合を観に行くことは成長した姿を見れる喜びと
高校野球最後の日を見てしまう辛さもあります。
最後に彼のお父さんがこう言ってくれましな。
「最後の日に本間さんに見てもらえてよかった。」
私も彼の野球の最後の日を見れて良かった。
彼のように子供には必ず何かの可能性があります。
それを見つけ出すのも引き出すのも指導者の大きな役割です。
可能性は・・
希望となります。
その「可能性」を信じ最後までがんばってくれた彼に心から「有り難う」と・・。
そして・・
彼はまだ大学で野球を続けています。
サイドスローで。。・
~年中夢球~