外野フライ…
ダイビングするかどうか…
外野手の一つの見せ場でもあります。
ダイビングキャッチにも段階があります。
イニングや打順…
アウトカウントや点差…
ダイビングキャッチを無理にしなくてもいい場面があります。
ですが…
最初の段階では
【ノーバンで捕る】
ことに僕は選手にうるさいぐらいに言います。
『外野手はワンバンで取ってもアウトにならないよ』
最初の段階ではノーバンで捕るチャンスがある打球はともかくノーバンで捕るようにします。
一つのアウトを必死に捕る気持ちを子供達に植えつけさせたいからです。
ダイビングキャッチをする上でウチのチームで大切にしていることがあります。
それはバックアップです。
ダイビングキャッチで仮にボールを捕れなくてもバックアップに入ってきている選手がいることで最小限のミスで防ぐことが出来ます。
数年前にウチにいた選手の話です。
少し内気の性格の彼は今話した
『何が何でもノーバンで捕る』
という意識がなかなか持てない選手でした。
皆さんのチームにもいませんか?
ノーバンで捕れる可能性があるのにチャレンジしない子。
この選手も正にそうでした。
『まずはノーバンで捕ろうっていう気持ちが大切だ』
『アウトがとれる可能性はチャレンジしよう』
色々な言葉を投げかけましたが…
ダメでした。
コーチが見本見せてくれてダイビングキャッチをしてくれましたが…
これもダメでした。
だから…
彼のユニフォームはいつもきれいでした。
ある時ノックで…
ライトの彼にノックを打っていましたがフライで捕れそうな打球がいくつかいきましたが彼はチャレンジしようとしませんでした。
ノックの度に…
センターの選手がカバーにきます。
センターの選手が私に
『本間コーチ!ちょっとタイム!』
と大きな声でいいました。
当時のキャプテンです。
ライトの選手と数分話した後…
自分のポジションに戻っていきました。
その後のノックで…
フワッと上がったフライがライトへ。
いつもチャレンジしないボールです。
センターの選手はいつも通り
カバーのために猛然とライトの後ろへダッシュしていきます。
そして、ライトの選手に
『いけー!』
とグラウンド全体に届きわたる大きな声でセンターの選手は走ってきました。
その声で…
ライトの彼は始めてダイビングキャッチをしました。
カバーに走ってきたセンターの選手とグラブタッチをして嬉しそうなライトの選手。
ユニフォームも初めて汚れていました。
ノックが終わった後…
センターのキャプテンの選手に
『ライトの選手にあの時、何を話したんだ?』
と聞くと
『俺は毎回お前のカバーに走ってきてんだぞ。俺がいけ!って行ったら勝負しろよ。必ず後ろにいるから』
そう笑って答えてくれました。
このセンターのキャプテンはライトの選手のミスをカバーするのではなく…
ライトの選手に最高のプレーをさせるために毎回走っていたんですね。
このファインプレーは
ダイビングキャッチしたライトの選手だけでなく…
仲間に最高のプレーをさせようとしたセンターの選手の二人のファインプレーだったと思います。
指導者ではなく…
仲間が仲間を変えてくれることがあります。
~年中夢球~