あの夏から1年…
また夏がやってきます。
本間さん…
あの夏から1年が経ちました。
100回大会で高校2年生だった息子。
背番号は11番を頂いてきました。
ポジションはピッチャー。
息子の去年の夏は…
3年生のエースの先輩が好投して2対1のまま最終回を迎えました。
このエースの先輩に息子は本当に可愛がっていただき
【先輩みたいなピッチャーになりたい】
そう息子は笑顔でよく話してくれました。
最終回・・
同点に追い付かれ…
ピッチャーが憧れの先輩から息子に代わりました。
『先輩達のためにがんばる』
『先輩たちと一日でも長く野球をする』
大会前にそう話していた息子。
胃が痛くなる場面を私はスタンドから観ていました。
祈るような気持ちで…
息子が投げたボールは外野を転々と抜けていきサヨナラ負けをしました。
外野に抜けていくボールをただただ呆然と見ていた息子。
やがてマウンドに泣き崩れ落ちました。
先輩達に肩を担がれてやっと整列する息子。
投げた球はたった3球・・
私もただただ茫然と息子を見ているだけでした。
試合が終わっても息子の涙は止まることはありませんでした。
私も3年生の親御さんに
『本当にすみません』
そうやって謝りに行きました。
『謝る必要なんてないよ』
『来年、がんばるんだよ』
3年生の親御さんの言葉が温かくもあり・・
辛いものでした。
家に帰った息子は
『俺が3年生を引退させてしまった』
そう言って部屋に閉じこもりました。
一日でも先輩たちと長く・・
そう思っていた夏だったのに。
数日間のオフの後・・
新チームになった初日。
息子は練習を休みました。
少年野球から何があっても一日も休まなかった野球を・・
生まれて初めて行けませんでした。
次の日も・・
その次の日も・・
息子はユニフォームに着替える事はありませんでした。
練習に行かなくなって5日目・・
玄関のチャイムが鳴り外に出ると・・
引退した3年生達が全員揃っていました。
『少しアイツと話をさせてください』
そう言ったのはあの憧れのエースの先輩でした。
次の日から・・
彼はユニフォーム姿になり練習に参加するようになりました。
親の私が言うのも何ですが・・
あの日から本当に人が変わったように息子は野球に真剣に取り組んできました。
あの日・・
3年生が何を話してくれたのか・・
私は聴いていません。
息子が引退した後に聞いてみようと思っています。
あの夏から1年。
背中には憧れの先輩から引き継いだ【1】番。
色々な想いを背負って・・
息子の最後の夏がやってきます。
~年中夢球~