本間さん、いつも拝読しています。
6月が近づいてくると息子の高校野球の最後を思い出します。
私の息子は高校から県外の学校で寮生活をしていました。
県外と言っても近隣ではなくかなり遠い高校です。
甲子園という希望と夢を持って選んだ学校。
選んだ理由の一つに
『あのユニフォームを着たい』
そう息子は言っていました。
しかし・・
現実はそんなに甘いものではありませんでした。
息子より上手な子がたくさんいらっしゃって・・
息子は1年生も2年生の時のベンチに入ることはありませんでした。
息子は中学はクラブチームに在籍していました。
お弁当を作ることも・・
洗濯をすることも・・
時にはめんどくさいと思ったことがありました。
しかし・・
遠く離れた高校に進学した息子に・・
私はお弁当を作ることも出来ません。
あの子が大好きだと言ってくれた玉子焼きを食べさせてあげることも出来ません。
洗濯をすることも出来ません。
ドロドロになったユニフォームを真っ白にしてあげることも出来ません。
時々送るLINEと・・
息子と繋がっている空を見て
『がんばれ』
と願いを込めることぐらいしか出来ませんでした。
お弁当や洗濯が出来ない事がこんなに胸が痛いことになるなんて・・
自分でも思っていませんでした。
高校3年生の春の大会もメンバーに入れず・・
いよいよ残すは夏大のみ。
息子の高校は公式戦の時にしかあのユニフォームを着ません。
練習試合は練習試合用のセカンドユニフォームで試合をします。
あのユニフォームを着たい・・
そう言っていた彼は公式戦のメンバーに入ったことがないので・・
そのユニフォームを一度も着れないでいました。
メンバー発表の日・・
彼からLINEが来ました。
『メンバー入れなかった。ごめん。』
その一言だけ。
息子の学校ではメンバーに漏れた選手の引退試合が行われます。
『お母さん、プレーヤーとして最後の試合になるから見に来てな』
息子からそう連絡が来ました。
引退試合。
夏が始まっていないのに・・
終わってしまう高校野球。
正直見たくない気持ちの方が強かったのを覚えています。
グラウンドに立つ息子の姿。
そして・・
念願のあのユニフォーム。
最初で最後の公式戦用のユニフォーム姿。
一度きりのユニフォーム姿でした。
その姿を見れただけでも来て良かった・・
そう思えました。
そして息子をスタンドから応援してくれるメンバーの選手達・・
いい仲間と巡り合えた高校野球だったのでしょう。
高校野球を引退し・・
高校を卒業した息子は実家に戻ってきました。
大学生をしています。
大学になった息子は笑顔で私にこう言ってくれました。
『お母さん、大学に行く時はお弁当にしてね。高校3年間食べられなかったから・・』
高校球児ではないお弁当ですが・・
中学の時のようにたくさんの量があるお弁当ではありませんが・・
私はお弁当を我が子に作れる喜びを毎朝かみしめています。
~年中夢球~