


少年野球 指導の引き出しが増えるコーチと増えないコーチの大きな違い

少年野球 お子さんの素振りが続かない理由

『何度言ったらわかるんだ」
指導者の方のこういう言葉を耳にする時があります。
逆に言えば『何度言っても伝わらなかったからわからない』のかもしれません。
我々が出来ると思っている当たり前のことが子供には出来ないのかもしれません。
もっと言えば子供たちには伝わっていないもかもしれません。
例えば『腰を落とせ』という言葉を例にとって考えてみましょう。
『腰を落とせ』っていう一言って、実は、すごく曖昧だと思うんですね。
どれぐらいまで腰を落とすの?
いつぐらいから腰を落とせばいいの?
サード・ファーストとセカンド・ショートは同じくらい腰を落とすの?
外野手も腰を落とすの?
腰を落としたら体重はどっちにかかるの?
腰は落としたけど上体はどうしたらいいの?
『腰を落とせ』という一言で済ませている言葉にもたくさんの細かいことが出てきます。
腰を落とせと言われても子供の中には腰を落としているつもりの選手がいるかもしれません。
低学年の子は大腿筋の筋力がなく身体的に出来ないのかもしれません。
あるいは『腰を落とせ』という言葉ではないのかもしれません。
私自身も『腰を落とせ』とあまり言わず『骨盤を入れろ』という言葉を多く使います。
それ以外の言葉でも子供たちが『あっ』と気づく言葉があるのかもしれません。
『骨盤を入れろ』という言葉で伝わる子もいれば伝わらない子もいます。
そうであれば、又、別の言葉を用意しなければいけません。
『腰を落とせ』という一言でも、小学生の場合は特に、あまりにも抽象的な言葉だということです。
そして全てには理由があります。
何故、腰を落とすのか・・
ポジションによって腰の落とし具合が違うのは何故なのか?
その『理由』を知ることで野球の奥深さの楽しさが増してくると思うんですね。
腰を落とせという一言で伝わらないのであれば、我々指導者は、それ以外の言葉で伝えようと努力しなければいけません。
言葉で伝わらなければ、実際に見せてあげることも方法の手段でしょう。
子ども一人一人の守備の構えを画像で撮ったりしてあげて見せてあげることも有効かもしれません。
たった一言の『腰を落とせ』を連発しているのであれば他の言葉や方法を考えてあげることのほうが、子供のためになるはずです。
たった一つのことを子供たちに伝えるために何時間も勉強したり、考えたりしての『指導者』ですから。
『腰を落とせ』だけで終わるのは、私からすると『指導者』ではなく『感想者』ですから・・誰でも言えます。
試合中にトンネルをした子がいる。
『腰が高いからだ』となるケースが多いのですが本当にそうでしょうか?
確かにそうの場合もあるでしょう。
でも、バウンドに入るまでの足の運びにミスがあったのかもしれません。
捕球体制の時に目を切るのが早かったのかもしれません。
腰が高い以外のケースもあると思うのですがきちんと見ていないのに『腰が高い』と言われることがあまりにも多い気がします。
『前に出ろ』も同じことが言えます。
その前に前に出るステップはきちんと教えていますか?
緩いゴロ・斜め前のゴロのステップ、内野手と外野手の前の出方も違います。
そして、全てが『前に出ろ』でないケースもあります。
こんな抽象的な言葉が野球にはたくさんあります。
『腰を落とせと何度言わせるんだ』という考えではなく、何度言っても伝わらないのだと考えるべきなんです。
野球の基本はキャッチボールです。
投げ手がいてはじめて受け手がいます。
言ったことではなく伝わったことが大切なんです。
指導する方が言っても子供に伝わらなくては、キャッチボールではなくなってしまいます。
そう考えたら・・
『本当にあいつは何回言っても出来ねえな』
なんていう言葉は出てこないはずなんです。
どうやったら、あの子に伝わるんだろうか・・
私は、日々、そういうことを考えている指導者でいたいと思っています。
~年中夢球~