以前にこんな選手が入団してきたことがあります。
ある時、チーム対抗のリレーをしました。
その子のいるチームが勝ったのですが、その子が僕に一言。
『ご褒美ないんですか?』
ご褒美?と思い、その時は流したのですが・・
この子・・
事あるごとにこの言葉を使うんですよね・・
『ご褒美ないんですか?』
の一言を。
ひょっとしてと思い親御さんに聞いてみたところ、家で親御さんが『これをしたらご褒美をあげると言ってます。そうしないとやらないんです』と話してくれました。
『ご褒美をあげなければ行動しなくなったのは、は親御さんにも原因があるかもしれませんよ』
と親御さんに話をしました。
内発的動機と外発的動機
ヤル気を引き出すと一言に言っても二通りの方法があると言われています。
一つは、がんばったらご褒美をあげるなどの「外発的動機」
もう一つは、自我我を目覚めさせる「内発的動機」
全くこういう『ご褒美』がいけないかというと一概にそうとも言えない部分もあるかもしれません。
外発的動機は小さいお子さんには時として有効かもしれませんね。
そして学年が上になっていっても・・
結局は頻度の問題だと思うんですよね。
全ての事に『○○をあげるからがんばりなさい』というやり方をしていると、子供が外発的動機からしか動かない可能性が出てきてしまいます。
そして、外発的動機は、自分から、発生させたヤル気ではないので長続きすることが難しいと言われています。
自分をやる気にするアイテムが『ご褒美』しかなくなってきてしまいます。
もともとは、純粋に野球が大好きで「野球が楽しい」「ホームランを打ちたい」というように自分の目標を達成したいという内発的動機で動いていたのに、ご褒美をもらえるようになると、無意識のうちに野球でいいことが起こる=ご褒美をもらうと考え始めてしまう事が起こりうる可能性が出てきます。
では内発的動機はどうでしょうか。
内発的動機は「試合に勝つためにがんばろう!」「甲子園に出るためにがんばろう!」など自分の内面的なものから発生してくるものです。
このヤル気は長続きします。
では、この内発的動機がどのようにして子どもに植えつけられるのでしょうか。
この内発的動機のきっかけは、様々ですね。
自分のエラーで負けた大きな挫折・・
自分の活躍で勝てた大きな成功体験・・
親御さんや指導者の一言であったりするかもしれません。
内発的動機には本来の目的があります。
「甲子園に出る!」
「このチームで優勝する!」
だからこそ、ヤル気が長持ちするのです。
そして、ヤル気が長持ちするということは「習慣」に変わります。
低学年のうちは時には外発的動機が必要だったりすることも必要だと思いますが、最終的には内発的動機で野球をがんばるお子さんになってほしいですね。
冒頭に出てきた選手ですが・・
ある時、試合でサヨナラヒットを打ったんです。
仲間からもみくちゃにされ満面名笑顔の彼に聞いてみました。
『ご褒美いらないのかあ?』と・・・
彼はニッコリ笑って・・
『いりません!』
と力強く答えてくれました。
こ試合は、彼のやる気を外から内へ変えてくれた試合になってくれました。
~年中夢球~