神奈川の夏が始まりました。
南北に分かれた100回記念大会。
その開幕ゲームに逗子高校主将の常国と大師高校主将の鷲尾がそれぞれ試合に臨みました。
二人とも私の可愛い教え子です。
逗子高校の常国はムードメーカーの努力家。
大師高校の鷲尾は責任感が強い主将肌の選手。
逗子高校の常国は1点差で勝利。
そして…
1回戦屈指の好カードと言われた大師高校対日大高校。
大師高校主将の鷲尾の夏は大会初戦で終わりました。
1-9。
7回コールド。
ゲーム終了後泣き崩れる仲間の肩を支える彼。
リトルの頃から彼は責任感が強く・・
そして・・
元気で・・
仲間を思いやる選手でした。
彼がリトルの時・・
『エラーをしたらそのままプレーに入ってはだめだ。必ず切り替えるために動作を入れなさい。それが切り替えのスイッチボタンになるから』
そう話したことがあります。
今日・・
彼は二度・・
空を見上げる場面がありました。
開幕戦というプレッシャーもあったでしょう。
空を見ている姿に・・
『あの頃の教えを守ってくれている』
そんな思いが蘇り胸が締め付けられる思いになりました。
ゲーム終了後・・
気丈に仲間を思いやっていた彼。
その彼が・・
球場の外に出てきてこう挨拶をしてくれました。
『僕は勝ちを持ってくると選手に言っていました。それが主将の自分が負けを持ってきてしまいました。9回まで野球をすることもできなくて・・』
涙が溢れる主将の鷲尾の姿がありました。
親御さんの一人が
『そんなことない!』
そういうお声がかかりました。
彼に一言言って帰ろうと思い・・
『鷲尾。有り難うな。高校野球まで続けてくれて・・負けを持ってきたなんて誰も思ってないよ。お前がキャプテンだからここまでこのチームはがんばれたんだろ』
そう言うと
『本間コーチ。有り難うございます。俺・・野球続けます』
眼には涙が残っていたけど顔は笑って彼はそう答えてくれました。
大師高校主将。
鷲尾海耀・・
短い夏だったけど・・
熱い熱い夏を有り難う。
君が見上げた空は…
君にどう見えていたのだろうか。
神奈川の夏は始まりました。
~年中夢球 photo sayaka~