あるお父さんコーチの方がいらっしゃいました。
「私は自分の子には厳しいので」
よくその方は話していました。
自分のお子さんがミスをすると頭をパチーンと叩き
「うちは厳しいので」
と…
その子がまたミスをするとどのコーチよりも先に怒り始めます。
バッターボックスでも・・
この子は監督のサインよりも先にお父さんを見ていました。
練習中もミスをするたびに・・
お父さんを見ていました。
お父さんの顔色をうかがいながら野球をやっていたのです。
このコーチの方は自分のお子さん以外の選手にもかなり厳しい口調で叱っていました。
他の選手も叱るのですが・・
自分の子も叱る。
一見「平等」に見えるのですが・・
気が付くと…
この子は…
他のコーチに叱られたことがないんですね。
お父さんのコーチが真っ先に叱ってしまうのでグラウンドで他の指導者に叱られたことがありませんでした。
ある時・・
この子がグラウンドに入るときに適当な挨拶をしたので私がその子を呼んで叱ったことがありました。
その子のお父さんコーチが凄い勢いでやってきて頭をパーンと叩きました。
「私からきちんと言っておきますから」
そのお父さんはこう言いました。
「今、彼は私と話しているんです」
私はそうお話しました。
結局・・
自分で叱るのはいいけど我が子が人に叱られる姿が嫌だったのだと思います。
正確に言うと
「自分が我が子を真っ先に叱ることで他人に叱られることを守っていた」
のだと思います。
よく人前で我が子を真っ先にすごい勢いで怒る親御さんっていらっしゃいませんか?
全員がそうではないと思いますが・・
このお父さんコーチのように我が子を真っ先に怒ることによって我が子を守っている方がいらっしゃるような気がします。
親が叱ることが大切な場面ももちろんあります。
ですが親以外に叱られることが大切なこともあります。
親だから見えているもののあれば・・
親だから見えていないものもあるはずなんです。
コーチングの大前提は「平等」です。
選手起用に関しての「平等」の境界線は難しいことですが・・
自分の子の呼び方だけ違っていたり・・
逆に子供がグラウンドで『コーチ』と呼ばずに『お父さん』と呼んでいたりすることは平等にすべきです。
こういう事を『なあなあ』にしてはいけない所です。
『平等』にしなければいけない所です。
私の知り合いでも「お父さんコーチ」でも素晴らしい方がたくさんいらっしゃいます。
私も経験した事ですが
「お父さんコーチ」は本当に大変です。
ですが・・
我が子が常にお父さんの顔をうかがいながら野球をするような状態になってはいけません。
『お父さんにやらされれいる野球』
になってはいけないのです。
~年中夢球 photo buchiko~