チャンスの場面で3度凡退してしまった選手がいました。
「お前はチャンスに弱い」
「お前はメンタルが弱い」
たった1試合でこう言われてしまうケースを見かけます。
その次の試合で同じ選手がチャンスで3度ヒットを打つこともあります。
今度は
「お前はチャンスに強い」
「お前はプレッシャーに強い」
一週間で評価が変わったりします。
監督・コーチや親御さんが1試合や数打席で
「チャンスに弱い選手を作り上げられている」
ことがあるのではないのかと思うんですね。
いわゆる偶然でチャンスに打てなかったケースで「チャンスに弱い」「気持ちが弱い」と言ってしまい、選手自体が自分を「チャンスに弱い自分」「気持ちが弱い自分」を作りあげてしまっていることがあります。
もちろん、野球をしていく上でそのような言葉を自分で克服していかなければなりませんが、お預かりしている小学生には色々な選手がいます。
ミーティングで
「自分がチャンスに弱いと思う人、手を挙げてみん」
と聞くと意外な選手が手を挙げたりします。
「コーチに言われたから」
「親に言われたから」
こんな答えが返ってきます。
プレッシャーに強いと言われる選手は一つのことしか考えていないんですよね。
よく、高校野球の試合後に
「ランナーを返すことだけに集中していました」とか
「自分のバッティングだけを心掛けました」っていうのは正にこれです。
『気』を一つにしている状態です。
いわゆる『集中』している状態。
こういうタイプの子はある程度やるべきことがわかっています。
プレッシャーに弱いと言われる選手は・・
逆にメンタルが弱いとかプレッシャーに弱いと言われている選手はどうでしょう。
こういう選手がこの状況で考えていることは
『マイナスの結果』です。
そして、彼らが考えるマイナスな結果は一つではありません。
『打てなかったら監督に怒られるだろうなあ』
『今日は親も応援に来てるしどうしよう』
『打てなかったら、僕のせいだ』
もうこうなると『気』が一つになっておらず、とても集中している状態ではありません。
こういう選手がこんな状態の時に周りから『笑顔!笑顔!』と言われても本人は笑える状態にありません。
ではそういう選手に対してどのような気持ちの持っていき方や声掛けをしたらいいのでしょうか?
ここで『タイム』をとってその選手を呼びました。
こういう選手には
『具体的な事を一つ指示すること』です。
要は『気を一つの状態=集中させる状態』に持っていく言葉です。
『何が何でも打て!』
『絶対ランナーを返せよ』
と言われても子供は具体的に何をしていいかわかりません。
『ベルトより上の球だけを振っていこう』
『外角球にしぼっていこう』
そういう具体的なことを一つ言う事で気を一つの状態にしていきます。
そして、「結果を気にしないように』と伝えてあげてみてもいいかもしれません。
ちなみにプレッシャーに強い子には『結果出してこいよー』と言うと喜んだりしますが・・^^;
そう考えると周りの声も変わってきます。
「絶対打てよー!」
という結果を求める声ではなく
「自分のスイング!」
「練習通り!」
などという声がけのほうがこういう選手には効果的です。
そして成功体験が多くなれば自分に自信が持てるようになってくるはずです。
そこまでのサポートも少年野球の指導者には必要なのだと思います。
~年中夢球~