昨日の仕事の帰りに電車の中で卒業生の教え子に会いました。
21歳になった彼は私の教え子の中でもっともよく叱られた子でした。
私はもともと学童野球の監督をしていましたが理由があって退団をしリトルに移籍をしました。
この彼は学童野球から私を追っかけてきてくれリトルに入団した子でしたので人一倍思い入れもあった子です。
中学で野球は卒業しましたが高校からは別のスポーツでがんばっていました。
野球の技術は決して上手なほうではなくレギュラーになれるかなれないかとい状況だったので
『この子に何とかレギュラーを取らせたい』
そいう思いが私にもあったのだと思います。
かなり厳しい言葉を投げかけたこと1回や2回ではありませんでした。
彼が涙を流した回数も1回2回ではありませんでした。
電車で出会った彼はびっくりしたような顔で私を見つけました。
『今、ちょうど本間コーチのこと考えてたんです・・だから、びっくりしましたよ』
と彼が笑顔で話しかけてくれました。
『俺のこと?どうせいいことじゃねえんだろ』
と笑いながら話すと・・
『うーん・・半々です』
と笑いながら彼。
話を聞いてみると・・
今日仕事でミスをしてしまい上司の方に怒られたそうです。
彼『怒られて正直、ムッとしてたんです。で・・そういえば野球をしているときも本間コーチによく叱られてたなあって・・』
私『ほらっ・・やっぱりいいことじゃねえじゃん』
そう笑いながら彼に話しました。
彼『今、電車で思ってたんですよ。あの頃、何であんなに怒られたのに本間コーチが好きだったんだろうって・・小学生の自分でもこの人は自分のことを真剣に思ってくれてるって感じてたんですよね』
その言葉を聞いてちょっとウルッとなりました。
そして、彼は続けて
『今日、俺のことを怒ってくれた上司も本間コーチと同じだったんじゃないかって・・って、だからまたがんばろうって思ってたところで・・本間コーチに会ったからビックリしたんですよ』
そう話してくれました。
指導者としてこんなに嬉しいことはありませんでした。
何年も前のことを今も仕事に活かしてくれている。
指導者って
『今』だけの指導者と
『未来までつながっている指導者』
といると思うのです。
当時、確かに私は彼の事を想ってのことでしたが・・
彼が卒団した後も厳しくし過ぎたのではないかと思う事もありました。
あれから何も経っても・・
当時の事が彼の心の中にあったことがとても嬉しく思いました。
その後に彼と二人で飲みに行き昔話に花が咲いた夜でした。
帰り際に彼がこう言ってくれました。
『本間コーチ、俺、野球やっててよかったですよ』
そう聞いた時・・
今度はウルッときた涙を止められる事が出来ませんでした。
~年中夢球~