公式戦の最後の大会である選手がエラーをしてしまいました。
1点差で迎えた攻撃は彼が最後のバッターとなり・・
この年代はこの試合を最後にリトルを引退することとなりました。
責任感のある彼は試合後も泣き崩れ、しばらく立ち上がれなかったのを今でも覚えています。
しかし、試合で勝った負けたは
『誰のお陰』
でも
『誰のせい』
でもないと子供たちに話してきました。
現にこの試合に負けた後も泣き崩れるこの彼の肩を仲間が支え全員が声をかけあっている姿を見て
『今年のチームもいいチームになったな』
そう思っていました。
唯一『負けたせい』は指導者にあるだけです。
そうこの時は思っていました・・
その日の夜に子供も親も参加してのお疲れ様会が開かれました。
なんとなく重たい空気の中で会がスタートしました。
あの彼のお父様が父母会を代表して会の初めに挨拶をする事になりこう話しました。
『今日の試合は息子のせいで負けてしまってすみません・・』
そうお父様はおっしゃいました。
悪気がないのはわかっているんです。
お気持ちもわかるんです。
ですが『言う必要がない言葉』だったと思うのです。
周りの目が気になってしまったのかもしれません。
やり場のない気持ちを言葉にしなければ耐えきれなかったのかもしれません。
あの彼を見ると…
ずっと下を向いたままでした。
会の最後に私が話す番がやってきました。
「先程…○○のお父様が息子のせいで負けたとおっしゃいましたがそんなことはありません。お父様も○○も責任を感じることはありません。負けの責任は指導者である僕の責任です。ですから…」
と言いかけた時…
「それは違うよ!本間コーチ!」
あるお父さんが声を上げました。
「本間コーチの責任でもない。俺達親はみんな監督と本間さんだから安心して子供を預けて…しかもこんなに楽しませてもらった。だれの責任でもない。子供も監督もコーチも親も最高のチームだった!」
そうあるお父さんが話してくれると・・
拍手がパラパラと起こりはじめ・・
その拍手はやがて大きな大きな拍手へと変わっていきました。
あの彼を見ると涙を流しながらも仲間の声で笑顔になり、彼のお父さんも涙を流していました。
その姿を見ている私自身も涙が止まらなくなっていました。
こういう選手とこういう親御さんのお陰で野球ができたこと・・
本当に心から有り難いことだと今でも思っています。
~年中夢球~