私がよく食事をするお店があります。
食事というよりお酒を飲んでいる・・
というほうが正しいかもしれませんが(笑)
このお店の従業員さんは帰るときに外までお見送りをして
『ありがとうございました』
とお辞儀をしてくれます。
そして・・
お客様が数十メートル歩いて姿が見えなくなる時に背中越しに
言葉はありませんがお辞儀をします。
この姿はお客様には見えていません。
心のこもったお辞儀だなあ・・
といつも温かい気持ちになります。
私は帰りに親御さんがお迎えに来れない時に選手を送ることがあります。
帰り際に
『ありがとうございました』
と言ってさっさと家に入る子もいます。
車を動かしてバックミラ-越しに見ると私の車が見えなくなるまで家に入らない子もいます。
このお店の従業員の方や後者の子は
『人の見ていないところでもがんばれる人間』
だと思っています。
多くの人が『見えない努力』より、『見える努力』をしがちです。
見える努力は人に誉められるからです。
我々も子供に野球を指導する時に
「すごいな!」
『がんばっているな!』
こんな言葉を投げかけますよね。
誉められた子供たちは、そのことでやる気が出てきます。
幼い小学生の低学年には
『誉めてもらえるからがんばる』
ということもやる気の一つのきっかけにもなります。
小学校の高学年や中学生ぐらいになってくると
『誉めてもらえるからがんばることから卒業』
する子が出てきます。
誉めてもらうために野球をがんばるのではない・・
そう気づき始めた選手達です。
元来、人間は人前ではやる気が出ますが、人のいないところではサボってしまいます。
誉めてもらえるからがんばっている選手は『誉められるために努力していた』訳ですからですから、人が見ているところでないとがんばれないのです。
こういう選手が家での自主練を怠けてしまったり素振りをしなかったり・・
という事に繋がってしまいます。
野球がもっと上手くなりたい・・
優勝したい・・
○○高校に進学したい・・
こういう風に『意識チェンジ』をした選手達は人の見ていないところでも努力をするのです。
誉められるために野球をしているという意識ではなくなっています。
では、どのようにしたらこの『意識チェンジ』が出来るようになるのでしょうか?
それは『挫折』です。
私の指導してきた選手の中で意識が変わった選手の多くは『公式戦での挫折』を味わって意識が変わっていきました。
ですから、挫折させる所はしっかり挫折してもらうことです。
わが子に挫折をさせないように・・と考えている親御さんがいらっしゃいます。
挫折した試合をしっかり向き合わせることです。
挫折は自分を変えるチャンスです。
試合で『大変』なことをしてしまったのなら
『大きく変わる』チャンスです。
だからこそ、なあなあにせずに試合の後にしっかり向き合うことが必要です。
『見えない努力』は誰にも見られません。
ですが・・
たった一人見ている人間がいます。
それは
『自分』
です。
『自らを分かっているから『自分』
その努力は必ず自分に返ってくるはずです。
~年中夢球~