少年野球~高校野球 野球少年の親と指導者のブログ

少年野球~親が車いすの方だと子供は野球ができないのか~

数年前のお話です。

ある選手が体験入部をしたいという連絡が来ました。

住所を聞くとウチのグラウンドからかなり遠い場所です。

「なぜうちなのだろう」

と思っていたのですが・・

親が車椅子だと入団できないのでしょうか

体験入部の当日・・

お母様が車椅子の方でした。

お話を伺うと

「車椅子なのでお当番が出来ない事を伝えると他のチームで入団を断られた」

とのことでした。

それも1チームではなく・・数チームだったそうです。

いろいろなご事情がチームさんにはあると思いますが・・

切なくなります。

「私のせいで子供が大好きな野球をすることが出来なくて・・もう申し訳なくて・・私も出来る限りのことはしますから・・入部させていただけないでしょうか?やっぱりダメでしょうか?」

お母様はそうおっしゃいました。

「あの・・私からするとお断りする理由は何もありません。ようこそウチのチームに来てくださいました」

そうお話させていただきました。

数チームも断られたということは・・

きっと子供自身も断られた理由を薄々感じていたはずです。

お母様も傷ついたでしょうが子供自身が傷ついたことがやりきれない気持ちになります。

当時の婦人部長とお母様に事情を話しました。

「事情わかりました。新しい仲間が増えて嬉しいです」

そう言ってくださった婦人部長。

そして、そのお母様に

「何か困ったことがあったら遠慮せずにおっしゃってくださいね」

と声をかけてくれていました。

正式に入部も決まり子供もすぐみんなと仲良くなりました。

お母様も、時々、練習に顔を出して、ほかのお母様とも仲良くされていらしたので安心していました。

子供のほうも徐々に技術が付いてきて試合に出られるようになってきました。

みんな仲間じゃないですか・・

そのお母様が試合に来るとき・・

障害者の方の車でしたのでそのお母さんの車には子供を乗せることができません。

そのお母さんも

「皆さんにご迷惑をかけるから」

と言って最初は試合に来ることはありませんでした。

しかし周りのお母さんやお父さんが

「何言ってるんですか!自分の子供の試合みたいでしょ」

「そうそう・・みんな仲間なんだから」

そう言ってくださいました。

この親御さんたちには感謝しかありません。

遠征に行くときは車に台数制限があります。

そのお母さんの車をグラウンドの駐車場に置くために

他の親御さんはグラウンドから遠く離れた駐車場に停めて歩いてきてくれました。

そのお母さんは何度も何度も

「私のせいで・・本当にすみません」

と頭を下げられていました。

「何言ってるんですか。子供も仲間なんだから親同士も仲間ですよ」

あるお父さんが言ってくれたこの言葉。

私の胸の中でずっと今でも心に残っています。

規則も大事ですが・・

チームにはいろいろな考えや事情があるでしょう。

ですが・・子供たちに

「チームメイトが困っていたら助けてあげなさい」

と言うのではないでしょうか?

規則も大事でしょう。

ですが・・

時には・・

「規則」より・・

「助け合うこと」

のほうが大切な時があるのではないでしょうか?

この年代の「仲間」と言ってくれたお母さんとお父さん達は・・

今でも私の誇りです。

~年中夢球~

この記事を書いた人
野球少年を持つ親御さんと指導者の皆様へ元気を送り続ける[年中夢球]です。 神奈川野球雑誌『ОNEDREAM』に連載中。

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