我々は「指導者」と呼ばれています。
「腰が高い!」
「バットが下から出てる!」
「グローブが上から落ちてる!」
指導者の方がこれらの言葉を言った場合…
子供達は何と言うでしょうか?
グローブが上から落ちてる…
これを例にとってみましょう。
「グローブが上から落ちてる!」
と言われた殆どの子供が
元気よく
「はい!」
と返すのではないでしょうか。
「言われた事には返事をしなさい」
と言われている子供たちは
「はい」
と返すしかありません。
ですが…
心の中で
「あら…今の俺…グローブ上から落ちてたかな」
ひょっとすると自覚すらないかもしれません。
「どうやったら直るんだろう」
そんなことを考えているうちにまた自分の順番がやってきます。
「さっきと同じじゃねえか!」
指導者からすると
『はい!』
と返事したからわかったのだろうと思いこみ
「言ったのにやらなかった」
ということになり…
グラウンドから出されたり…
やる気がないと見なされてしまうことがあります。
ではなぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?
「指導者」の方からすれば
「グローブが上から落ちてる」
と何度も言っているのに子供が「やらない」と考えてしまっているわけです。
ですが…
①グローブが上から落ちている自覚がない。
②グローブが上から落ちている自覚があるか直し方がわからない。
③直し方もわかっているのに体が反応しない。
④やろうとしない。
子供からするとこの4つに分けられます。
我々は「指導者」です。
「指摘者」ではありません。
「腰が高い!」
「グローブが上から落ちてるぞ!」
こういう指摘は誰でも出来ます。
その状態を子供が自覚しているのか…
それを直すためにどういう言葉が必要なのか…
それを直すためにどういうメニューが必要なのか…
「指摘者」で終わっているのか?
「指導者」になっているのか?
皆さんはどちらでしょうか?
グローブが上から落ちる子がいる…
私はこういう選手を別メニューで呼びます。
「グローブを上から落とさない」
目的はこれのみのノックです。
捕る捕らないが目的ではありません。
ですから
「捕る捕らないはどうでもいい。捕ることに夢中になるな」
そう子供に必ず伝えます。
ノックを始めると一球一球確認。
「今のは?」
「上から落ちました!」
まずは自覚があるかどうかですね。
「ボールとグローブを点と点で合わせようとするな!そうすると上から落ちるぞ!」
「グローブは面。ブルドーザーみたいなイメージでこい!」
「ボールと一緒に砂をとってこい!」
その後に「指摘」ではなく「指導」に入っていきます。
しばらく続けると…
僕が言わなくても
彼等は自分と自分で「会話」を始めるんですよね…
「上から落ちた」
「点と点で合わせようとした」
グローブを下から出す動きをしたり…
ステップの確認をしたり…
首を傾げる子。
「あーちきしょう!」
と悔しがる子。
今までグローブを上から落としていた「自分」とこれから変わろうとしている「自分」との戦いです。
こういう戦いが子供を成長させていくのだと思っています。
『そうやってどんどん過去の自分と話せ!』
そう選手に声をかけます。
でもそう簡単には直らないんですよね。
何年もそうやってきた訳ですから。
でも個別で1時間ノックを打って、そこだけを「指導」し自分で「会話」をすると間違いなく「意識」は変わります。
「指摘」だけで終わらせるのではなく
「指導」まで行う。
そして、子供にとことん付き合う。
「グローブが上から落ちてるぞ!」
「腰が高い!」
だけでは子供達はどうしたらいいのかわかっていないのかもしれません。
~年中夢球~