少年野球~高校野球 子供を持つ親と指導者のサポーター~

~私、野球が嫌いなんです・・彼のお母さんは僕にそう言いました~

~『野球が嫌いなんです』~

彼のお母さんはお当番をしている時も我が子をあまり見ようとしていませんでした。

我が子をというより「野球」を見ようとしていませんでした。

そのお子さんは野球の技術はまだまだこれからという選手でしたが、道具出しを積極的にしたり、ベンチの中でも誰よりも大きな声で仲間を応援する選手でした。

あまり…と言うか殆ど他の母とも話すこともなくお当番の時以外は試合の日にもグラウンドに来ることはありませんでした。

そのお母さんの「笑顔」を見たこともありませんでした。

私野球が嫌いなんです

そのお母さんがお当番の時…

ずっと気になっていたのでお母さんに話しかけてみました。

「何か気になることがありますか?」

そう尋ねると

「私…野球が嫌いなんで」

と…予期せぬ答えだったので返す言葉もなく黙っていると

「野球が好きだとあの子はいいますがごらんの通りです。運動神経も鈍いし入部にも反対したぐらいですから。お当番だって苦痛です。見ようとしなくてもあの子の姿が目に入ってきますから。人付き合いも苦手なんで」

そうお母さんはお話になりました。

「野球が嫌いなんです」

親御さんに言われたのは先にも後にもこのお母さんだけでした。

「そうですか…野球楽しいんですけどね…野球は嫌いでもお子さんは当然好きですよね?野球は無理に好きにならなくてもいいのでお子さんのことだけ見てあげてください。」

今度はお母さんが黙りこみました。

「お当番の時お子さんを見てあげてみてください。きっと家で見せないお子さんの表情・行動が発見できますから。歯を喰いしばってノックを受ける表情、仲間と話すときの表情・・そういうものを見逃さずに見てあげてください』

そう話しました。

私のように自分が野球に携わって子供が野球をし始めた親。

自分は野球携わっていないけど子供が野球をやり始めたことによって野球を好きになった親。

でも・・全員がそうではないんですよね・・

その後もそのお母さんはお当番の時以外はグラウンドに姿を見せませんでしたが

フッと見ると我が子を見ている姿がありました。

お母さんが・・

しばらくして・・

彼のティーを見ているとバットスピードが速くなっていました。

「おー!バットスピードが速くなったなあ!毎日素振りしている証拠だなあ」

そう彼に話すと

「はい!素振りの後に、最近、お母さんがティーを上げてくれるんです!」

えっ・・

野球が嫌いと言っていたあのお母さんがティーを上げてくれてるようになったんです。

彼の野球を見て・・

きっとお母様の心が動かされたのだと思います。

一生懸命野球に打ち込む姿が

お母様を変えたのだと思います。

彼はその後も公式戦にはあまり出ることが多くはありませんでしたが

お母さんは試合に応援に来るようにもなってくれました。

まだ・・野球嫌いですか?

卒団式の時・・

「私は息子のおかげで野球が好きになりました。そして、このチームが大好きになりました」

お母様は涙でそう話していました。

卒団式の後に・・

「お母さん・・野球…まだ嫌いですか?」

そう尋ねると涙を流しながら飛び切りの笑顔で

「大好きです!」

そう答えてくれました。

ゴールは同じ想いで・・

その後、彼は高校野球まで野球を続けてくれました。

試合を観に行った時に…

スタンドで応援するお母様の姿を見つけて熱いものがこみ上げてきました。

野球好きな子供。

野球嫌いだった母。

入口は違ったかもしれませんが高校野球の最後は同じ想いでゴールしたはずです

※本文と画像は関係ありません

~年中夢球/photo buchiko~

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野球少年を持つ親御さんと指導者の皆様へ元気を送り続ける[年中夢球]です。 神奈川野球雑誌『ОNEDREAM』に連載中。
Comment (1)
  1. 貫誠のママ より:

    またまた泣けました……私は野球が全くわからなかったのに子供達が野球を始めてスコアラーになり、ルールを覚え、野球が大好きになり、今では関係ない高校野球を見に行ったり、はたまた初めての甲子園デビューもしました❗これも全て子供達のお陰です。有難いと思っています。感謝ですね☺こんなに楽しいこと教えてもらえて。

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