野球の技術だけを指導していれば、上手な選手を育て上手なチームを作り上げていくことができるかもしれません。
ですが、緊迫した試合の場面のここぞという時や、夏の炎天下の試合を乗り切るためには、心の強い選手を育て強いチームを作らなくては勝ち上がっていくことができません。
つまり、技術と強さの二つを身につけたチームが勝ち上がっていきます。
技術だけでも精神力だけでもだめで、勝つためには、両方を兼ね備えておかなければなりません。
野球の技術は、野球を終えればそこまでになりますが、心の強さは野球に限らずスポーツをしていたからこそ、社会に出てから役立つことが出てきます。
あの時にあんな辛いことも乗り越えられたのだから、今回も乗り越えられるはずだと、学生時代を思いだしてがんばっている人も多くいることでしょう。
「お前たちは気持ちが弱いから、今から100本ノックだ!」
「お前たちは気持ちが弱いから、ずっと走っていろ!」
我々の時代とは違い、こう言われても、なかなか子供に伝わらないのが今の現状です。
中には何のためにこんな辛いことをしなければいけないのかと思っている子もいるかもしれません。
精神力を身につけると、その先に何があるのかを子供たちに伝えることが大切です。
この厳しい練習を何のためにやるのかわかっていない子供もいるかもしれません。
「この100本ノックをがんばってやってみよう。そして、試合の時に思い出すんだ。あれだけノックを受けたんだから必ずこの場面で捕れるという自信につながるはずだ。」
「走り込みはピッチャーにとって辛いかもしれない。だけど7回を持たせるのは体力だけでは厳しい。終盤、疲れた時やピンチの時に、精神力が体力をカバーしてくれる時があるんだ。」
重要なのは、この厳しい練習を乗りきったら「勝てる」「成功できる」と強く思うことです。
つまり、「精神力」とは、「成功を信じる力=成信力」に繋がっているのです。
そして、その成信力を子供に持たせるにはイメージが大切です。
子供たちに「ともかく富士山に登れ」と言ってみてもイメージがわかないでしょう。
富士山の頂上から見える景色を教えてから、富士山に登ろうというのと、いいからともかく富士山に登れというのでは大きな違いがあります。
前者は山を登っている最中に辛いと思っていても、頂上に登ってあの景色を見るためにがんばるんだと思えるんですよね。
成功を信じて最後まであきらめない力が「成信力」であり、そのために心が強くなっていくのが「精神力」なのだと思います。
そして、その最後まで諦めない気持ちは、我々の時代では「根性」と呼ばれていたのかもしれません。
時代が変わっても、大切なものは変わらない…
子供達が変わったと言われますが、方法や言葉を変えながら、大切なものを大人が子供に伝えていくことは変わらないのだと思います。~年中夢球~