28年前の夏…
水色のユニフォームの胸にYのマークを付けた一人の少年が甲子園の土を踏みました。
その息子は…
私の教え子です。
彼の名前は
稲妻大成。
たくさんの教え子を見てきましたが
野球に対する姿勢…
私生活…
彼はリトルの頃から抜きに出ている選手でした。
彼が5年生の時…
関東大会の準決勝で清宮君率いる北砂リトルの試合でフォアボールでガッツポーズをとったシーンは私の頭の中に今でも残っています。
当時から『チーム』を考えられる選手でした。
彼は最終学年では『主将』になりました。
私が怠慢なプレーをした選手をグラウンドから出した時…
その選手に稲妻はいつも駆け寄っていました。
『何でグラウンドを出されたかわかるか?何をすればグラウンドにまた入れるのかを本間コーチに伝えてこい』
彼はそう伝えていました。
そして、その行動は代々の主将に引き継がれ彼は『伝統』を残してくれました。
小学6年生がここまで出来るのだろうか…
僕にとって彼は強烈な印象を残した選手でした。
強さと優しさを兼ね備えているキャプテンでした。
そして、今…
彼は父と同じ水色のユニフォームに袖を通し主将として最後の夏を迎えようとしています。
その高校は・・
横浜商業…
通称Y校。
彼の父が甲子園に行ったのを最後に28年間…
甲子園から遠ざかっています。
先日…
高校のグラウンドで彼に会いました。
『どうだ?調子は?』
そう聞くと…
彼は苦笑いをしていました。
その苦笑いが何を意味しているのかわかりませんでしたし、私もそれ以上聞くことはしませんでした。
色々な想いが彼の胸の中で交錯しているのでしょう。
父の背中を追い…
父と同じユニフォームに袖を通して迎える最後の夏。
横浜商業の応援の太鼓には大きくこう書かれています。
『古豪復活』
と…。
28年間分のたくさんの人の想いがあります。
その中には昨年までY校でマネージャーをしていた私の娘の想いも含まれています。
古豪復活の夢は…
28年前に甲子園の土を踏んだ父から息子へ引き継がれています。
そしてY校には
『♪走れ走れ!2塁ベースへ!光より速く青い稲妻♪』
という応援歌があります。
稲妻がグラウンドを走り回る姿を夏に観に行くつもりです。
~年中夢球~