子供に人気があると同時に一番叱られることが多いポジションといえば…
そう「キャッチャー」です。
最初はあの防具に憧れ…
イニングの最初の声だしがかっこいいから…
なんて理由だったのがキャッチャーをやり始めるとキャッチャーの大変さに気付かされます。
キャッチャーというポジションはどういう選手が向いていて何が必要とされるのでしょうか?
キャッチャーというポジションは唯一仲間全員の顔を見て野球をするポジションです。
ですから、決して暗い顔をしてはいけないポジションです。
また『捕る』ことだけでなくチームに不足している部分を『補う』という意味の『捕手』でもあります。
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バックホームに返球されてくるボールはチーム全員が声と想いで繋いできたボールです。
そのボールを受け止めるということはチーム全員の『想い』も受け取ることになります。
責任重大なキャッチャーはその分、やりがいがあり奥が深いポジションです。
ではキャッチャーに必要な二つの力とはなんでしょうか?
キャッチャーにまず必要なのがこの「観察力」です。
では具体的にキャッチャーにはどのような観察力が必要なのでしょうか?
ある練習試合で相手の4番バッターが打席に入る前に2回、3回といかにも打ちそうな素振りをしてバッターボックスに入りました。
初球…
カキーンと豪快にホームランを打たれました。
キャッチャーの子を呼んで…
「今…何から入った?」
と聞くと
「アウトローの低めから入りました」
とキャッチャーの子。
「うん。で…その意図は?」
と聞くと
「4番バッターで初めての対戦だったのでアウトローで様子を見ようと…」
「うん。それもありだな。でもそのアウトローを持っていかれたわけだ。俺はアウトローが怖いなあって思ったんだよね」
と答えると
「理由を教えてください」
とキャッチャーの子が言いました。
まあ…当然そうなりますよね(^_^;)
僕は、まずは子供に考えてもらうことが大切だと思っているのですぐに答えは言わないようにしています。
「答えは教えないけどヒントな。次の打席に入る前によーくあのバッターを観察してみん。いいか…打席に入る前だぞ」
そう告げました。
次の打席で…
4番バッターの選手がバッターボックスに入ろうとした時…
キャッチャーのあの子はじーっとそのバッターの選手を見ていました。
正に『観察』です。
1打席目と同じように2回、3回…と素振りをした時・・
キャッチャーの子がマスクを取って僕を見てニヤッとしました。
『答えがわかりましたよ~』
っていう得意げな顔でした。
ベンチに戻った彼は
『バッターボックスに入る素振り・・全部アウトローを振ってました。きっと普段からあそこ振っていてあのコースが大好きってことですよね?』
そう得意げに答えました。
考える力の前にキャッチャーは観察力が必要です。
何かしかけてくるかもしれないと相手ベンチを観察する力。
味方のピッチャーがイライラしているかどうか観察する力。
イライラしているのが見えたらタイムをかけるなり間を取る必要がありますね。
守備位置を観察する力。
色々なことを観察する力は試合だけではできません。
普段の練習はもちろんですが私生活でも『観察する力』がある選手がキャッチャーには大切です。
観察力とは「目に見える範囲」を見る力です。
対して洞察力とは、観察した事からバッター心理を見抜く力、推理する力のことです。
キャッチャーのリードに必要な『駆け引き』に必要な力ですね。
この『洞察力』の前提には『観察力』があってのことです。
観察したことからどうやってこのバッターを打ち取ろうか・・
バッターは次の球で何を待っているのか・・
そういうことを見抜き、推理することです。
一打席目は初球のストレートを打たれた。
さて二打席目・・
セオリーでいけば変化球から入ろう。
いや・・待てよ・・
バッターも同じことを考えてカーブを狙っているかもしれない。
バッターボックスの立ち位置は・・?
裏をかいてインハイのまっすぐから入ってみるか・・
いやコントロールミスがあったら長打が怖い・・
こんなことを考えてるだけでワクワクしてきちゃいますね(^_^;)
こういうことを考えることが好きな選手は正にキャッチャー向きです。
このキャッチャーの洞察力でピッチャーの投げる球が決まります。
そして、それによって守備のポジショリングも変わってきます。
つまり、自分の『観察力』と『洞察力』でチーム全員が動くわけです。
これがキャッチャーの醍醐味であり、一番面白いところではないでしょうか。
『観察力』と『洞察力』この二つを兼ね備えたキャッチャーは『野球の奥深さ』を更に楽しめるはずです。
~年中夢球/ photo buchiko~
私は野球経験は有りません。子供が野球を始めてからグランドで球拾いのお手伝いを始め今はコーチをさせて貰っています。私はサッカーをやっておりました。ポジションはDFです。つまり守りの要で私が抜かれると後はゴールキーパーだけになり失点に繋がる可能性が大で時には敗戦の決定的な要因になることも多々有りました。
常にゴールを狙うFWとは違い「ミス」が許されないポジションです。そういう意味ではキャッチャーと被るものを野球を通じて感じる時が有ります。パスボールからのサヨナラ試合など日常茶飯事です。
時にして、私どもコーチはコーチではなくティーチになっている瞬間にハッとする事が有ります。選手に考えされる機会(具体的には失敗する権利を奪わない事)を与えず「次はこうだ」とついつい言ってしまいます。
自分自身もそうでしたが子供は子供なりなに感じながら・考えながらプレーをしているものです。負けた試合の後に悔しそうなする選手を見る度にあぁこいつらはこいつらなりに必死なんだなぁと思います。
指導者は時には選手に考えさせ失敗さす勇気が必要だという事を勉強させて頂きました。