ある試合の大事な場面でピッチャーの子が変化球を投げ打たれサヨナラ負けをした試合がありました。
「あの場面で変化球なんか投げて、気持ちが逃げている証拠だ。だから打たれるんだ」
コーチにそう言われている場面がありました。
バッテリーを呼んで話を聞きました。
「何で変化球を選んだ?」
「一番自信があったボールだったからです」
二人はそう答えました。
確かにストレートとバッターの対決は見ているものをワクワクさせます。
野茂投手と清原選手の対決などは胸を踊らせて私も見ていました。
変化球ピッチャーでもストレートに磨きをかけなければいけません。
ただこのピッチャーはストレートはそんなに速くなく、練習でも変化球を磨いてきた子でした。
普段から勉強熱心な子で
「変化球の握りを少し変えたいんですが何かいい握りありますか?」
「今日は曲がりが悪いんですが何ででしょう?」
私によく質問をしてくるピッチャーでした。
結果的に打たれてしまいましたが
この子達は「変化球で真っ向勝負」にいったのだと思います。
大切なのは
「球種」ではなく「気持ち」
ストレートだって打たれそうだと思って投げていれば打たれます。
今、中学野球や高校野球を見ると変則ピッチャーを多く見かけます。
特に左ピッチャーは多いですね。
色々な考えがあるかと思いますが
彼らは「ピッチャー」として自分に何が必要で何を「個性」としたらベストなのかを考えているのではないでしょうか?
もちろんストレートに磨きをかけるピッチャーもいるでしょう。
コントロールに磨きをかけるピッチャーもいます。
変化球に磨きをかけるピッチャーもいます。
フォームに磨きをかけるピッチャーもいます。
彼等はピッチャーとして自分が持っている「個性」を磨いているのだと思います。
その個性が錆び付かないように自らを磨いているのです。
「自信を持って投げた変化球」
「自信を持って投げたアウトロー」
試合で気持ちを込めて投げられるのは、彼等は日々、それを磨いてきたからです。
それは決して「逃げの球」ではありません。
~年中夢球~