高校野球を観戦する時に各チームのランナーコーチャーを見るのが楽しみの一つです。
ランナーコーチャーを見ているとそのチームの雰囲気が伝わってきます。
コーチャーズボックスまで全力疾走で走る選手。
『っしゃー!』と大きい声で走っていく選手。
僕の中ではランナーコーチっていうのは、スタメンの選手と同じくらいの役割を持っていると思っています。
だからこそ、ランナーコーチの役割は極めて大きいものです。
野球というスポーツは一つの塁を先にいかに進むかが大切です。
ランナー2塁でランナコーチの力量で1点を取れることがあれば1点を失うこともあります。
そして、その1点が勝者と敗者に分かれ、最後の夏を終えることもあります。
だからこそ、ランナーコーチは誰でもいいというわけには行きません。
私の教え子の中で東北楽天の松井投手と同期で桐光学園で甲子園に出場し、ランナーコーチャーとして活躍した選手がいました。
彼はランナーコーチャーとしてどのような力を持っていたのでしょうか?
ランナーコーチャーとして必要なものとは何なのでしょうか?
今が何回で何点勝っているのか負けているのか・・
ランナーが誰なのかバッターが誰なのか・・
そして、流れは今こっちに来ているのか相手にあるのか・・
どのポジションの選手が肩が強くて弱いのか・・
全ての場面で腕を回すのではなく、場面によってはランナーを止める勇気も必要な冷静さが必要です。
又、投手の牽制の癖を盗む洞察力も必要になってきます。
常に外野手の位置を確認し打球との兼ね合いでゴーなのかストップなのかを判断しなければなりません。
それも迷っている時間はありません。
瞬時にそれを判断しなければなりません。
練習の時から自分の選手の足の速さ、スタートの良さ悪さを頭にいれてこそ、瞬時の判断が出来るようになってきます。
洞察し判断したものをランナーに伝えなければ意味がありません。
大きな声で・・
大きなボディアクションで・・
そして、ランナーに見やすい立ち位置で・・
声を使って・・体を使って・・眼を使って・・ランナーに伝達する力が必要とされます。
三塁コーチャーが、ランナーやバッターに指示を声を出す時に、両手の手のひらを口元に持っていくシーンをよく見かけます。
仲間に必死で伝えようとしているあの姿を見ると胸が熱くなります。
コーチャーが元気よく腕をグルグル回してくれるから仲間たちは思いきりのいい走塁が出来るのです。
ランナーコーチが取った1点があります。
ランナーコーチで勝てた試合があります。
ランナーコーチャーとして最後の夏を迎える選手もいるでしょう。
6.096m×3.048mの四角いポジションに自信と誇りを持って夏を迎えてください。
そして、コーチャーの親御さんも・・
仲間のために手のひらを口に添えて大声を出し・・
仲間のために力いっぱい腕を回し・・
仲間のために1点を取りに行く息子さんを誇りに思ってください。
それぞれの場所で・・
それぞれの夏が始まります。
~年中夢球~