少年野球~高校野球 野球少年の親と指導者のブログ

少年野球 自分じゃありませんが口ぐせだったチーム

一人一人の技術はいいものを持っているのに・・

なかなか勝てない年代がありました。

優勝候補と言われていた年代の話です。

自分じゃありません

自分だけ・・

正にそんなチームでした。

『自分じゃありません』

彼らはよくこの言葉を使いました。

グラウンドにゴミが落ちていても誰も拾おうとしません。

見るに堪えかねて・・

『ゴミ落ちてるの見えないか?』

と私が言うと

『自分じゃありません』

お弁当を食べ終わり・・

椅子が綺麗になっていないのを指摘しても・・

『自分じゃありません』

彼らはいつもこう答えました。

試合でも・・

チームが勝った負けたことよりも・・

自分がいかに活躍したことのほうが大事な連中でした。

『俺のホームラン見た?』

『俺のピッチングすごかったべ』

試合に負けてもこういうセリフを言う選手達。

ゲーム中でも・・

ピッチャーがストライクが入らなければ・・

『おい!ちゃんと投げろよ』

野手がエラーすれば・・

『何やってんだよ!イージーだろうが』

選手同士でこんな言葉が飛び交うチームでした。

私自身もまだ指導経験が浅い時でどうしたらいいのか・・

正直わからず時だけが流れていきました。

最初の公式戦で・・

彼等は『一人一人の力だけ』で勝ち抜いていきました。

結果・・

準決勝で敗れました。

彼らの中では優勝できると思っていたのでしょう。

それでも誰一人涙を流さず・・

悔しがっている様子も見られませんでした。

次の大会・・

彼等は1回戦で接戦に敗れました。

この時に一部の選手は気付き始めていたのだと思います。

このままでは勝てないことを。

この試合後の練習は・・

それがわかりかけてきた子とそれを認めたくない子がチーム内に存在し何とも言えない空気でした。

自分の…

次の大会・・

今度は…

彼らは1回戦でコールドで敗れました。

連係ミス・・

バッテリーエラー・・

打線は全くつながらず・・

つまり・・

『チームとして機能しなかった』わけです。

試合が終わってのミーティング。

私は基本ミーティングに参加しませんが

この日は参加しました。

誰一人言葉を出さず・・

下を向いている者もいれば涙を我慢している者もいました。

『この試合は何で負けたんだと思う?』

そう私が聞くと・・

『自分のせいです』

一人の選手がポツリと言いました。

何人かの選手が続きました。

『誰のせいじゃないよね。チームで負けたんだよ。だからチームで勝てるよにしよう。自分・自分・・じゃなくて自分達が・・ってそういうチームを作ろう』

そう彼等に伝えた時・・

私も子供も全員が涙を流していました。

優勝候補と言われていたチームが1回戦でコールド負け。

しかし・・

その負けは彼らに『チームとは何か』を教えてくれる試合になりました。

そして・・

彼らは最後の大会で優勝をしました。

それは『個人の力』ではなく『チームの力』で取った金メダルでした。

~年中夢球~

この記事を書いた人
野球少年を持つ親御さんと指導者の皆様へ元気を送り続ける[年中夢球]です。 神奈川野球雑誌『ОNEDREAM』に連載中。